⑥「動画」のビジネスシーンへの活用と「紙(印刷物)」が適している例-マーケティングシリーズ6
なぜ「動画」がビジネスシーンでも多く活用されるようになったか
マーケティングのみならず、なぜ動画がビジネスシーンでも活用されているのか?や、ビジネスシーンでの動画活用例なども合わせて解説します。冒頭でもお話したように、皆さんの日常の中で動画に触れる機会が多くなったかと思います。
YouTube、電車内広告、デジタルサイネージなど、あらゆる場所で動画が活用されておりその中でも動画広告は市場規模を年々拡大しています。(株)サイバーエージェントの動画広告に関する調査によると、動画広告の市場は、年々右肩上がりに急速拡大しており2021年には3,889億円、2024年には6,856億円に達する見込みとのことです。まさにビジネスの成長を加速させる動画と言えます。
日常で身近になった動画ですが、なぜビジネスシーンでも動画を活用されているのでしょうか?
それは、動画には「伝わりやすい」という大きなメリットがあるからです。わん。
先にお伝えした動画の特徴である
「興味を惹きつける」
「短時間で情報を伝えられる」
「商圏に限りがない」
どれもビジネスにおいても重要なポイントです。基本的に、どのような企業でも動画は有効だと言えます。
新商品のコスメのプロモーション、新しいフレーバーのアイスクリームの宣伝、掃除機のメンテナンス方法のHow to動画などなんとなくBtoCにおいてSNSで動画を頻繁に投稿されるイメージですが、BtoBでもBtoC同様にほとんど企業で動画活用ができると考えられます。
さらにいうと、BtoBこそ動画を活用すべきではないでしょうか。
というのも、BtoCとの大きな違いとして「決済までのプロセスの多さ」と「決済金額の大きさ」があり、これらの違いがある分BtoCに比べてクライアント様に対して”自社のサービスや商品をよく理解をしてもらう”ことが重要だからです。
もし、よく理解せず導入したとなると、「せっかく発注したけど、自社には必要なかった」なんて事態になってしまいますよね。それほどBtoBでは導入するサービスや商品の理解が重要になっており、この理解を促進する手段として短時間でも多くの魅力が伝えられる「動画」が効果的であると考えられます。
中でも「製造業」や「IT」の企業などは、素晴らしい最新技術や独自技術がある反面、専門性が高いゆえに伝わりづらいこともあるので、動画を活用することで、より相手側が理解しやすくなる効果を見込めます。
大きな金額が動くBtoBの取引、サービスや商品のことは事前によく理解した上で導入を検討したいですよね。
「百聞は一見にしかず」というように、「動画」は視聴者が理解しやすい最適なツールであり、ビジネスの成長に欠かせない存在となるでしょう。ビジネスシーンで「動画」をどう活用していくか、「紙」である印刷物の方が適している例なども含め解説したいと思います。
「動画」がビジネスシーンに適している例
①プロモーション(販促)
主に企業の動画活用で多いのがやはりプロモーション(販促)ではないでしょうか。
活用方法としては「動画広告」や「Webサイトでの掲載」がオススメです。動画にすることでユーザーの興味を惹きやすくなるため、認知拡大に効果を発揮します。また、動画は営業ツールとしても活用できます。
例えば、商談の場で自社サービス概要をまとめた動画を見ていただくだけでも、相手に具体的なイメージを持ってもらうことができ、その後の商談がスムーズに進むのではないでしょうか。先述した通り、そこに紙媒体のパンフレット・カタログなどをお渡しし手にとって詳細を読んでもらうことで訴求効果が上がります。
②マニュアル・研修(社内用)
マニュアルには主に「社内用」と「社外(ユーザー)用」がありますが、動画はどちらにも活用できます。
社内用マニュアル・研修動画の場合は、効率的な社員教育や教育コストのカットが見込めます。
さらに総務省HPの「テレワークの推進」の頁では、“新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う出勤抑制の方策として、首都圏を中心に、テレワークが一時的に広く利用されることとなったものの急遽・短期間での実施だったことに伴い、マネジメントやコミュニケーションでの問題が生じ、結果として生産性が下がってしまったとの声も聞かれます。これらの問題の中には、新しいICTツールの活用、十分解消していくことができるものもあります。”とあり、まさに「動画」の活用こそが問題点や課題の解決を担う存在になりうる可能性があると考えられます。どの企業にも業務マニュアルや作業手順書などがあるかと思いますが、うまく表現できない部分があったり、マニュアルがあるのに浸透しないなどのケースもあるのではないでしょうか。そういったマニュアルを動画にすることで、わからない点が出た際には動画を繰り返し見ることで理解を深めることができ、通常に比べ教育コストカットを図ることができます。
また、動画はテキストや静止画だけでなく映像や音声もあるので、通常のマニュアルでは表現しづらかった部分も解消され、その業務をしたことがない方でもイメージが湧きやすくなります。そうすることで、インプットもより効率的になるでしょう。
③マニュアル(社外用マニュアル)・商品マニュアルなど
ユーザーが使うマニュアルなどを動画にする場合、「お問い合わせ数減少」の効果が期待できます。
例えば、電子機器の接続の方法で動画を活用したとします。ユーザー様が電子機器を使った際に事故が起こらないためにもマニュアルに情報を漏れなく記載し、しっかりと順序に沿って接続してもらう必要があります。しかし、そういったマニュアルはどうしても「ページの多いマニュアル」になり、ハードルが上がってしまいます。
そこで、電子機器の組み立て手順を動画(How to)にすることで、ハードルも下がりますし、多くの情報を記載していたとしても通常のマニュアルに比べても短時間でわかりやすく伝えることができます。そうすることで、「この接続がわからない」「一本ケーブルが余ってしまったがどこに使うのか」などのお問い合わせの減少につながるでしょう。
④リクルート・採用活動
最近では人材採用でも動画を活用する企業が増えてきています。なぜなら、採用で発生する工数を削減できるからです。
これまでであれば、説明会があるごとに企業の採用担当者や先輩社員の動員が必要でしたが「企業紹介動画」や事前に収録した「先輩インタビュー」などの動画を活用することで、先輩社員が費やすリソースの削減や採用担当者の説明工数を削減することができ、採用活動の効率化も図ることができます。
また、新卒採用では特に動画に慣れ親しんでいる世代がターゲットになるケースがほとんどなので自社で働く魅力を伝えるツールとして「動画」は効果的といえます。
「紙(印刷物)」がビジネスシーンに適している例
①挨拶状や表彰状
挨拶状とは、相手に対するお礼の気持や敬意を表す書状です。企業様や個人様の近況を相手に伝え、理解していただく役割があります。例えば、心のこもった御礼状や移転挨拶状、社長就任・役員就任/交代の挨拶状などがあげられます。
今や離れた相手とのやりとりの主な手段は電子メールや電話ですが、ビジネスの挨拶状に関してはまだまだ「紙」が主流です。
では、なぜ挨拶状では紙を用いることが多いのでしょうか。それは挨拶状が、出す側の”手間がかかる”手段だからです。
相手へ感謝の気持ちを伝えるにあたって、電子メールや電話という手軽な方法で済ませてしまうことは、「相手への想いを簡略化した」ことにつながってしまいかねないのです。同じ内容だからこそ、より相手に対して敬意を表し、想いを伝えられる挨拶状が今でも用いられているのです。同様の理由で優れた成績を収めたり、功労者に対して贈られる表彰状や認定証、感謝状、修了証などは紙媒体、高級用紙で贈られます。
②会社案内・社内報
見せるのが簡単な営業ツールとして会社案内があげられます。鞄からパッと会社案内を取り出して、それを見せながら説明する。「私たちはこんな会社です」というものを凝縮したものが、会社案内です。打ち合わせが終わったら、取引先に「どうぞまたご覧になってください。」と置いて行けばモノとして残り、また見て頂ける機会があります。経営理念や年間の事業計画などしっかり読んで理解してもらいたいもの、社長挨拶などじっくり読むものは紙の会社案内を手にとって見ていただきたいですよね。
「動画」と併用する企業も増えてきました。併用するパターンとして、気を惹く会社案内動画を制作し、web検索へ誘導し、誘導した先で資料請求や電子ブック化された会社案内の取得に繋げるというクロスメディアマーケティングが可能です。社長挨拶など動画で社長の人柄を伝えて身近に感じてもらうことで、紙の会社案内も読みたくなるような興味と関心を高める効果も期待できます。社員のインタビューなど動画で肉声が聞けると親近感も沸きやすいですよね。
紙会社案内は手に取り読み込んで理解や学びを促すコンテンツを、会社案内動画は鮮度の高い情報や視覚効果の高いコンテンツを。といった具合に、両特性を考慮したコンテンツ制作を行い併用する方法もあります。
③表やカタログ
例えば「料理」を例にあげると、「料理の作り方」は動画で手順や作業の様子を確認し、わかり辛い点は巻き戻して再生でき便利ですよね。作り方の動画は料理の手順について実際に炒めたり切ったりする様子が視覚的に分かりやすいコンテンツであるといえます。では「料理の材料」はいかがでしょうか。動画でスピーディーに紹介されてもなかなか記憶に残りませんよね。「料理の材料」に関しては紙面でリスト化され、写真付きで量がわかる方が便利です。
このように数字やリスト、一覧性が求められるものに関しては紙媒体の方が活用しやすい点があります。
例えば工場において作業に必要な道具の収納方法を写真と文字で表にしたものを貼っておく、仕入れた商品を番号順にリスト化して管理するという風に、動画化(デジタル化)よりも紙の方がわかりやすく適している場合もあります。前述した会社案内のように、電子ブックや電子カタログと併用することも可能です。
「動画」 を活用したコンテンツイメージ
これまでビジネスにおいて「動画」と「紙」が適している例をあげてきました。
具体的にビジネスシーンにおける動画を活用したコンテンツを箇条書きであげていきたいと思います。
- 新人向けPCセットアップ(一部の分かりづらいものだけ動画化)
- 業界研究・社内勉強会(実際の講義を転用)
- 新人マナー研修(名刺交換など動きのあるもの)
- 営業マンのロープレ研修(画像や文字では伝わない生感を動画で伝える)
- 掃除・整理整頓の仕方
- 小売店での棚卸の仕方
- 機械の使い方(手元の動きのあるもの)
- 新人教育ビジネスマナーのマニュアル
- 機械の使い方のマニュアル
- 商品陳列のマニュアル など
ビジネスにおいて紙媒体とWeb媒体のどちらが正解なのか?その答えは、まだ出ていません。
それは企業によって、情報の伝え方は千差万別であるからです。社員のほとんどがPCなどデジタルデバイスを使用するオフィスワーク中心、テレワーク中心の企業であれば、Web媒体が向いています。対して、業務にデジタルデバイスを使用しない割合が高い企業であれば、紙媒体を主流にしたほうがベターです。
紙とWeb両方の特性に合わせて、自社に適したメディアで情報を発信していくこと前述のように、紙と動画にはどちらにもメリットとデメリットがあります。扱う情報(コンテンツ)を分析して、適した媒体に掲載することがベストということが前提となっていくと考えられます。